著作:アーリーハッチ 著者: 社団法人 日本DIY協会認定 DIYアドバイザー 首藤浩昭  著作開始日 2003.12.16

著作掲載対象:アーリーハッチホームページ http://www.hatchan.com/subtop.htm

2003.12掲載分  2004.1掲載分(本ページ)  2004.2掲載分  2004.3掲載分  2004.4掲載分   2004.5掲載分  2004.6掲載分  2004.7掲載分  2004.8掲載分  2004.9掲載分  2004.10掲載分  2004.11掲載分  2004.12掲載分


仕上げに重宝なサンダー    2004.1.1
何でも機械まかせにするのもいけないことですが、あればとっても重宝なのが、サンディングに使用する「サンダー」。白木の木材の表面は、一見きれいに見えても、目に見えない汚れや木油が付着しているもの。そのままオイル塗装をすると、不自然なムラがでたりします。また表面にある傷や凹凸も、塗装前にはさほど目立たなくても、特にオイル塗装をすると、びっくりするほどはっきり浮き上がります。こうした場合前もってサンディングをすることになります。これを「下地調整」(素地調整)と呼びます。手作業でのサンディングは結構しんどいもの。そこで登場するのが「サンダー」。サンダーはおおきくわけて2種類があります。市販のサンドペーパーを切断して使用出来る、長方形のベースがバイブレーションする「オービタルサンダー」。これは初心者でも削りすぎの心配のない工具。ただし深目の傷消しには不向き。もうひとつは専用のマジックテープ式の円形型ペーパーを装着し、軸ブレさせた回転運動でサンディングする「ランダムアクションサンダー」。集中的なサンディングに向き、深めの削りが可能ですが、扱いになれないと、かえって傷をつけてしまいます。アーリーハッチでは「傷消しにはランダムアクション」、「全体研磨にはオービタル」と使い分けています。ついつい面倒になるサンディング作業。手作業でも工具利用でも同じ事ですが、サンディングをしたものと、していないものでは、手触り感や見た目に、大きな差が出ることは事実です。

仕上げの違いによるメンテナンス    2004.1.2
木工作品の仕上塗装には、「ニス仕上」や「ラッカー仕上」「ペンキ仕上」「ステイン仕上」「ワックス仕上」「オイル仕上」などがありますが、その仕上の方法によって、メンテナンス(拭き掃除)に違いがあります。この違いは、表面の塗幕の種類により異なります。「ニス」「ラッカー」「ペンキ」では、木材表面に比較的硬質で耐久性のある塗幕を形成していますので、乾拭きはもちろんのこと、固く絞った水拭きでもOK。「ステイン仕上」とは、一部のカントリー家具で行われる方法で、「オイルステイン」が代表的な塗料として知られています。ただしこの方法は、木材に対して、単に色の成分を浸透させ着色しているだけですので、木材の保護効果は皆無です。そのため表面塗幕はまったくなく、白木状態と同様です。メンテナンスは乾拭きのみ。そうした観点から、本来オイルステインのみの仕上げは「小物工作」が適当な範囲とされ、実用家具には不向きです。そのため、ステイン仕上げの場合は、乾燥後のワックス塗布をおすすめします。「ワックス仕上」は「下地保護」が目的ですが、その効果は実用家具類の場合、約半年とされます。そのため、半年ごとのワックスの再塗布が、家具を長持ちさせるポイント。日常のメンテナンスは乾拭き、もしくは固く絞った水拭きとなります。「オイル仕上」(この場合オイルステインとは区別した、樹脂成分を含むワトコオイル等をさす)は、乾拭きのみ。特に、塗布後2週間までは、頻繁な乾拭きがおすすめ。この期間は、木材内部に浸透していた樹脂成分が徐々に浮き上がっており、それを乾拭きすることで木材表面で均され、なめらかな手触り感と自然な光沢を形成すると同時に、樹脂による表面塗幕が形成されることになります。その後は必要に応じての拭き掃除でOKです。どの仕上げにおいても、作品を大切にする気持ちが、日頃のメンテナンスでは大切になります。木工作品の寿命は、正しいメンテナンスにより「永遠」とされています。

■ジグソーの選び方             2004.1.3

手作り木工作に欠かせない電動工具のひとつである「ジグソー」。特に曲線を多用するカントリー家具制作では、なくてはならないもの。ジグソーは、操作面での手軽さと安全性により、広くビギナーに普及している工具です。そのため、市販されている機種も「ドリル」等に次いで多く、いざ購入という段階で迷ってしまいます。当然、その「性能」と「価格」は比例しますが、選ぶ際のポイントは、まず第一に「重量」。重心が低い、どっしりしたものがおすすめ。よく「軽いほうが女性には扱いやすいのでは?」と言われるのですが、それはまったく逆で、軽いほうがむしろ「刃物抵抗による浮き上がり」が大きく、押さえ付けの強い力が必要になります。また、軽くて安価なものは、その分搭載モーターが小さく、パワー不足を回転数のアップでフォローしているため、作動時の激しい振動がボディーに吸収されにくく、そのため切断ブレがおこり、同じく「強い押さえ付け」が必要になります。また見逃してならないのが、「ブレード」(ノコの部分)の汎用性。そのメーカーが指定したものでなければ取り付けられない機種や、他メーカーと共通で使える機種があります。「ブレード」は寿命の短い消耗品です。手軽に購入できることが重要です。ジグソーでの上手なカットのポイントは、「ジグソー本体の真上からブレードを見ること」です。横から覗き込んでカットすると、墨付けラインが読みにくいためです。鉛筆で字を書く時、横から覗き込んで書くよりも、背筋をのばし、なるべく真上からの視線で書くほうが、きれいに書けるはず。それと同じことで、ジグソーを選ぶ場合は、本体の上からブレード位置が見えやすいものをおすすめします(例えば、本体のフロント部が、ブレードの付け根に向かって湾曲しているもの)。なかにはブレード部が、本体下に大きく入り込み、横からでないと見えにくいものがあるので注意。いずれもこの文章では表現し難いのが残念ではありますが・・・

■扉の遊びについて    2004.1.4
湿度等の室内環境による「木材の伸縮特性」については、これまでの講座の中で解説してきました。この特性を理解したうえで、もっともその影響を受けるのが「家具の扉」であることはお解り頂けると思います。よくカントリー雑誌や木工誌の中に、家具の「木取り図」が載っているものがあります。その「木取り図」を分析してみて愕然とするのが「扉の遊び(隙間)」です。この隙間の設定が、いかにそのデザイン・製作者によってまちまちであるかは、皆さんも注意して木取り図から計算してみると解ると思います。木材の材質や部位によっても若干異なりますが、通常パイン材の場合(柾目、完全乾燥状態=もっとも縮んだ状態)、幅180mm程度のもので約2mmの伸縮、230mm程度で約3mmの伸縮(それぞれ平均値)を繰り返します。これが「観音開き」(中央で出会う2枚扉のこと)の家具であれば、この数値を当てはめてみると、1枚が180mm幅の扉の場合、中央の遊び(隙間)は4mm以上でないと、湿度の高い時にはお互いがぶつかってしまうことになります。同じく1枚が230mm幅であれば、6mm以上の遊びがないとなりません。180mm幅での4mmはカントリー家具としての美観を損ねることがありませんが、230mm時の6mmは明らかに「あき過ぎ」という印象を与えてしまいます。それを解消するのが「反り止め」と呼ばれる、扉の裏側への木目直行方向の渡し木です。この「反り止め」により、木材の伸縮を約半分に留めることが出来ると言われます。つまり、180mm程度までの扉の場合は、反り止めなしで4mmの遊びとし、それを超える幅の場合は反り止めを付け、同程度の遊びとするのが望ましいのです。また「吊もと側」(丁番が付く側)は、縦枠に対し「ハガキ1〜2枚の厚さ分」をあけることがベスト。これにより膨張時の「浮き上がり」を防止します。それらを考慮して扉のサイズを計算すると、観音開きの家具が「実幅内寸」に対して「扉幅マイナス1〜2mm」などと言う「木取り図」が紹介されていること自体、家具そのものの不正確さを印象付けさせる結果となります。

■「反り止め」の取付け方   2004.1.5
昨日は「扉の遊び」と、その決定寸法について解説しました。その中で触れた「扉の反り止め」について詳しく説明します。扉幅が180を超える場合に必要となる、この「反り止め」の寸法は、長さが扉幅の「マイナス30mm」、幅は40mmが適当、厚みは扉部材と同等でOKです。つまり扉の端から15mm均等の入りで取り付けることになります。ネジ位置は両端10mm均等と中央の、計3本となります。上下位置は、内部の棚位置に影響なければ、上下とも40mm程度あけた位置に取り付けます。ただし、扉の高さが800mmを超え、さらに幅が230mmを超える場合は、上下のみならず、中央部分にも取り付け、計3本の反り止めとします。いずれも、内部の棚位置にバッティングしないよう注意しましょう。また、扉にツマミや取手類を取り付ける場合で、貫通穴にネジを裏面から通して取り付ける「裏面貫通ネジ式」のツマミ類は、やはりこの「反り止め」に当たらないよう注意が必要です。家具サイズを決定する「木取り図」作成の際に注意すべきことは、この「反り止め」を取り付けることによって、扉内部の奥行きサイズが、反り止めの厚み分だけ狭くなるということです。反り止めの厚みを計算せずに、収納する物の寸法ピッタリに設計して、いざ完成したら、扉が閉まらなかったということがまれにあります。また、収納物サイズや、家具の設置場所の都合、木取りの都合等で、どうしても奥行きが確保出来ず、「反り止め」を省略する場合は、昨日説明の通り、充分な「遊び」をとって木取りして下さい。

糸ノコ盤の選び方   2004.1.6
自由な曲線カットが可能な「糸ノコ盤」は、カントリー家具制作には欠かせない電動工具です。また「糸ノコ盤」は、数ある切断工具の中で、もっとも作業音が小さく、木屑の量も少ないため、手軽に室内木工作が可能になる人気の工具です。「カントリークラフトNO.40」(日本ヴォーグ社)誌面でも解説しましたが、今回は「糸ノコ盤」を選ぶ上で、もっとも重要なポイントとなる「ふところ寸法」について説明します。糸ノコ盤の「ふところ寸法」とは、「ノコ刃から、アームの付け根までの奥行き」を示します。細かな曲線カットは、あらかじめ描かれた曲線ラインに合わせ、木材を糸ノコ盤のテーブル上で取り回しながら切り進みことになります。この時、アームの付け根に木材が当たってしまうと、それ以上切り進むことは出来ません。そのため「ふところ寸法」が重要となる訳です。この寸法は長ければ長いほどいいのですが、ビギナー向けとしては「400mm」程度が使いやすいと思います。またカントリー家具制作では、ハートなどの切り抜きを多用しますので、アーム部分の上下するタイプが便利です。上下しないタイプと比べると、約1万円程度の差があります。
ここで数学の問題です。「パイン材で最大幅となる板材285mmの正方形の対角線を求めよ」
問題の答え:√(285二乗x2)√162450400
つまり、この板材の対角線の長さが取り回し出来る「ふところ寸法」であれば、パイン材の曲線カットには不自由しないのです。

家具作りは女性優位     2004.1.7
「女性のための○○」「女性でも出来る○○」などなど、こと「女性」という文字を入れることで、「簡単」「誰にでも出来る」というような印象を与えようとしている出版物をよく見かけますが、おそらくこうしたエディターは、たいていの場合「男」です。家具作りを長年見てきた私から言わせますと、この分野では明らかに「女性のほうが上手」です。まず女性のほうが、家庭内部を熟知しているため「家具を作りたい動機」がはっきりしていることと、経済的な支配権を持っていること。ですから男性に比べ真剣みがまるで違います。そして意外なのが、工具の扱いが上手なこと。こと電動工具の場合、そのほとんどが「刃物工具」です。「おっかなびっくり」作業するのはたいてい男性のほうで、女性の場合最初はそうであっても、すぐに慣れ上達します。男性の場合、刃物のような身を傷つける可能性のある鋭利なものに対しての恐怖心と警戒感は常に持ち続けています。そのため、ある一定以上になると、不思議なことにぴたりと上達が止まります。そしておかしな応用方向へと向かいます。ですから、刃物工具で大怪我をするのも、だいたい男性だそうです(当店でそうしたことはありませんが)。そしてなにより女性優位なのが「インテリアセンス」。室内全体の演出を考えながら制作していることと、カントリーなどの演出分野についての情報量がまるで違います。一昔前は「男性の聖域」とされたパワフルな電動工具と家具作りの世界。これら工具を使いこなすには、力で制圧するのではなく、いかに力を抜いて、そして危険度を理解しながらも、決して怖がらずに、いかに集中力を切らさずに扱えるかが大切なポイントとなります。そうした意味で、女性向きと言えます。なお、「かたよったプライドのかたまり」を表現する作品は、男性のほうが上手です。
*なお、これらがすべての男性に当てはまる訳ではありません。男性諸君の、なおいっそうの健闘を期待します。

効率的な墨付けについて     2004.1.8
基本的に「ホゾ」や「継ぎ手」などの匠技を必要としないカントリー家具でいうところの「墨付け」とは、曲線カットラインや、板の接合ライン、ネジ・釘のための下穴位置などに、鉛筆でラインや印を付けることさします。この「墨付け」、ハートや飾り曲線以外は、ほとんどすべて「板の裏側」に書くのが効率的な方法です。先日ある木工雑誌で、「側板と棚板を接合するため、ネジの下穴をあける位置を板の表側に墨付けすること」と説明されていました。多分これが古来よりの正攻法なのでしょう。続けての解説を読むと、「墨付け位置にダボ穴をあけてから、ドリルで下穴をあける」と書いてありました。でも側板と棚板を接合するためのライン位置は、当然「側板の裏側」ですよね。ネジ位置は、そのラインを基準にしていますよね。理解の早いかたはおわかりでしょう。ラインのない表側で、わざわざ穴位置を測り直して墨付けをするより、材の裏側にある接合ラインを利用したほうが手っ取り早いということを。つまり、材の裏側から2mm程度の太さのドリルで下穴をあけ、表側からその貫通した下穴にダボ穴をあけたほうが効率的なのです(太さ2.5mm以上ではブレます。ボール盤なら3mmまで平気です)。多分古来よりの方法では、下穴を先にあけると、ダボ用ビットの軸ブレ(センターずれ)がおきると仮定しているのでしょうが、2mmの下穴に対して、高速回転でのダボ穴であれば、心配するほどのブレはおきません。むしろ、表からの墨付けで測り間違いをして、板と出会わないところに穴をあけてしまったりする失敗がない分、賢い方法だと思います。アーリーハッチでは創業以来この方法です。なお、ハートや飾り曲線を裏側に墨付けしてカットするとどうなるかは、ジグソーで扉のハートを切り抜いた皆さんで心当たりの方がいらっしゃると思います。そうです、表と裏では、抜いた形に差が出るのです。怪我を伴う危険な工夫は禁物ですが、道具の性能進歩と共に、頭もいっしょに進歩したいものです。

怪我をしたくない人のためのトリマー使用法  2004.1.9
数ある電動工具の中で、最も回転数の高いもののひとつ「トリマー」。その用途については以前に解説しました。刃物を装着した切削工具は、回転数が高いほどその危険度は増します。そうした意味で「トリマー」は、グラインダー(鉄部切削工具)と並び、事故の多い工具です。正しい使用方法をよく理解して作業しましょう。まず「ビット」(刃物)の取り付け・取り替えの際は、必ずコードを抜くことです。なぜなら、ビット取付時は、回転軸にスパナをかけているため、万が一スイッチが入ると本体が激しく躍り上がり、すでにビットが装着済みの場合は100%怪我をします。ほとんどのメーカーとも、このスイッチがきわめて危ない場所にあります。まるで誤作動を歓迎するような位置です。同時にコードを差すときも、間違ってONの位置になっていないか確認。ON状態のままコードを差すと、途端に狂ったように転がりだし、台から転げ落ちて怪我をします(意外にこの事故が多い)。それから、進む方向にも注意します。材に左手を置き、右手でトリマーを手前から奥に向かって進めます(反時計まわり)。逆向きに進むと、ビットの回転作用で本体が走り出して、体に接触してしまったり、手を取られたりして危険です。また切り口が毛羽立ちます。ハートなど切り抜き部分は、時計まわりになります。また置き手は刃物にあまり近づけないこと。これは切削工具の基本となります。扱いに慣れた人にとっては当たり前のことでしょうが、怪我をする人のほとんどが「扱いに慣れていると自負する人」であることを忘れてはなりません。でも安心して下さい。一度大怪我をすると、二度と同じミスはしないそうです。本人が言うので間違いはありません。

キット家具購入時の心得     2004.1.10
「買ってはみたものの完成出来なかった」または「思ったように作れなかった」という人の割合が6割に近いと言われるキット家具。特に中型から大型キットを購入した日本人に見られる傾向です。正確な金型で成型されたプラモデルとは異なり、天然木は、細かなパーツにカットされた段階から、時間経過とともに伸縮や反りをし始めます。さらに大量生産型のメーカー品は、一枚の元板から同じ部分のパーツを切り出す方法のため、一つ一つのパーツがすべて別の元板から準備されています。そのため、組立ての際、微妙なサイズ違いが出たり、仕上がりに妙な違和感があったりします。キット家具はもともと「面倒な木取り作業をせずに手作りを楽しみたい人」のために、DIYの本場アメリカでポピュラー化したもの。「ドライバー1本で作れる」などというフレーズに魅了されて「完成品を買うよりお得」という動機で購入した人に限り、「難しくて出来ない」とか「サイズに微妙なズレがある」といった類のクレームがおきます。キット家具、特に中型から大型の作品を購入しようという人は、まず何かしらの作品を、図面から材料の準備、切断、加工、組立て、塗装まで、自力で経験した上で、注文すべきでしょう。

アメリカンヒストリーの追撃    2004.1.11
「カントリー大好き」「アメリカン最高」と、やたら合衆国を褒め称え、なにかアメリカ文化を踏襲することが、自らのステータスの優位性を表していると勘違いする人。アメリカによる戦後統治での徹底的な洗脳教育の結果が、言葉や文化の中に浸透した「アメリカ化」となった。カントリー家具と呼ばれる分野も、例外なくその影響によるもの。元来、気候風土も、顔かたちも、背の高さも、鼻の高さも、考え方も異なるアジアのジャパニーズ。異国の異文化を、まるで自国の伝統と錯覚してしまうほど、日本人はある意味器用にそれを吸収し、違和感なく表現した。母国アメリカ産カントリー家具は、我々日本人から見ると、言葉は悪いが結構「雑でへたくそ」なもの。もともと手先が器用で、丁寧な仕上がりを好む日本人は、それを見事な芸術作品へと変貌させ、自分のものとした。最近のカントリー家具作家の中には、故意に「雑」な仕上がりにしたものや、いびつなデザインの作品を制作し、流行のごとく取り扱っているものもいる。一生懸命になった日本人は、数千年からの素晴らしい伝統美の遺伝子を兼ね備えている。「不自然」と思うものを「自然」と言ってはいけないと思う。アメリカンヒストリーの追撃が始まっている。

図面から始まる木工の手順    2004.1.12
木工に限らず、正確な物作りには必ず「図面」が必要になります。初めての方にとって「図面なんて難しいものは書けない」と尻込みしてしまいがちですが、これがないことには正確なものは出来ません。今回はその手順について説明します。まず、頭にイメージしている作りたい物のラフスケッチを描きます。これは立体的にフリーハンドで自由に描きます。全体のバランスや曲線のイメージ、棚の位置などを思いのまま描き、さらに最低限必要な寸法、例えば設置する場所に制限があれば全体サイズ(幅・奥行き・高さ)や、収納するものがあれば、それが収まるサイズなどを、その部分に記入します。この「ラフスケッチ」こそが、以降の図面の基準となる「展開図」ともいえる図面です。次はこのスケッチをもとに、作品を真正面から見た「正面図」、真横から見た「側面図」を書きます。もうここからは、方眼紙に定規を使って書くことになります。スケッチに書かれている最低限必要とされたサイズ部分や板の厚み(パイン材等19mmが一般的)に注意して正確に書きます。次は、この「正面図」と「側面図」をもとにして「木取り図」を書きます。この「木取り図」こそが、既成の木材から必要な部材を切り出すもとの図面となります。ここからは、あらかじめホームセンターなどで、販売されている木材の既成サイズを調べておくことになります。いかに無駄なく効率的に木取りするかが出費に影響します。まず方眼紙に既成サイズの木材を引き、部材の中の大きいものから順に落としていくことがポイントです。パズルのようなものですが、慣れてくると結構おもしろいものです。注意するのは「切りしろ」です。紙をナイフで切るのとは違い、木材の切断には、ノコ刃の厚み分だけ切りしろが出ます。ホームセンターなどのカットサービスを利用する場合は切りしろを「3mm」と考えて下さい。特に細かな部材の木取りに注意します。3本の平行カットで、実に9mmも必要になります(例:45x4は180だが、180mm幅から45mm幅の部材を4本は取れない。3本取って36mmの残)。取れるはずの部材が取り切れなかったということはよくあることですので注意しましょう。また木材の両木口は正確な直角が出ていませんので、1820mmであっても1800mm程度を最大値として考えましょう。

かなり重宝なボール盤     2004.1.13
カントリー家具作りに揃えたい電動工具といえば「ドリルドライバー」「糸ノコ盤」「ジグソー」「トリマー」。これらは部材加工や組立てのため欠かせない工具です。さらに木工ファンが多く所有するのは、以前にもご紹介した「サンダー」。これは必要工具というよりも、効率的な作業のための道具ということになります。そして今回は「ボール盤」について説明します。「ボール盤」はドリルビットを装着して穴あけに使う工具です。卓上据置型で、ハンドル操作により、垂直な穴あけが出来ます。「ドリルドライバー」でも行える作業ですが、なによりこの「垂直」が魅力。家具制作では、ネジや釘を打つ場合、必ず「下穴」をあけます。ネジの場合は、さらに「ダボ穴」も必要になります。ちょっとした大きさになると、結構な数の穴加工をすることになります。またドリルドライバーで「ダボ穴」をあける場合は、深さを加減しなければならないため、ビットにテープを巻いて目印にしたりしますが、「ボール盤」なら、一定の深さを保った、正確でスピーディな加工が可能。ドリルドライバー同様、ビットを取り替えて使い分けますが、アーリーハッチでは「下穴用」と「ダボ穴用」にビットを装着したままの2台の「ボール盤」を用意しているほど使用頻度が高いのです。ドリルドライバーを使用した場合の「手ブレ・センターブレ」が皆無のため、きれいな加工が可能な「ボール盤」。複雑な機能を必要としないため、その価格は充電式ドリルドライバーよりも格安。7〜8千円の普及型で充分です。「別の工具でまかなえる」という理由から、カントリー木工誌でもあまり取り上げない「ボール盤」。それは、実際に家具作りの経験がない人の理屈。「いかに少ない工具で作れるか」という題材は、「いかにテクニックをこなせるか」ということ。ビギナーへの間違ったメッセージにもなりかねません。こんなに重宝する工具が、そうした影響でビギナーに知らされないことが残念でなりません。

傾向にみる「つぶし」のきかない物と人   2004.1.14
職人用語でいうところの「つぶしがきかない」は、「使いまわしが出来ない」「融通が利かない」ということ。最近の手作りカントリー家具にもこの傾向が多いようです。どういうことかと言うと、作り付けにも似た、その場所でしか使用出来ないものや、目的の物を収納するためだけのサイズ設計など、つまり「今必要なもの」に限定されたデザイン設計が極端に多くなっています。たとえば「テレビ台」を作る人は、ビデオデッキを収納するための棚間隔を、手持ちの機材ぴったりに設計したり、「キャビネット」を作る人は、壁にぴったり付けたいために、キャビネットの裏側を、壁の幅木部分だけ削った設計にしたり、極端な例だと、小さな子供が頭をぶつけないための高さにしたダイニングテーブルなどなど、つまり「つぶしがきかない」作品が目立っている訳です。「必要なものはそのとき考えればいい」という現代の風潮の現れでしょうか。数十年のうちに消滅する人間と違い、家具には永遠の命があります。ビデオデッキを買い換えることもあるだろうし、キャビネットは部屋の模様替えや引越しで、別の場所に置きたくなるかも知れないし、頭をぶつけるはずの子供も数年たてば団欒の場にさえ近寄らなくなるかも知れません。人間教育も然り。目の前のことにしか目的を持てない人は、想像力の発展性に著しく欠如します。食器を入れるため作った作品に、雑誌を収納するかもしれません。一流企業に入れようと思った子供が、ラーメン屋になるかもしれません。生みの親の意にかなわずは、いつの世も脈々と相たがわぬ悲しき宿命かもしれません。つまり「つぶし」の利く利かないは、実は作品のことではなく、生みの親本人を指します。余計なお世話でした。

ワトコオイルの塗布方法   2004.1.15
オイル仕上げの種類やメンテナンスについては、以前の講座で解説しました。今回はプロが好んで使用する「ワトコオイル」の具体的な塗布方法について説明します。一部実体験からの手法を織り交ぜていますので、他のかたの解説文とは異なる部分もありますがご了承下さい。塗布前の下地調整の重要性については解説済みですが、特に「傷」については塗布によってくっきりと現れますのでしっかりサンディングして下さい。まず1回目の塗布は手早くたっぷりと。なるべく木目に沿ったほうがベスト。少しの時間差で、塗布済み部分が吸い込みの境界を作ってしまいます。これが木目に直行したラインだと、かなり不自然ですが、木目に沿っていれば、さほど目立たないからです。塗布量の目安は、全体が濡れて光っていること。液だれが無くなる程度に刷毛でならし、5分ほど放置します。このとき、もし墨付けのラインや細かな傷、汚れ等があった場合は、400番以上の耐水ペーパーでサンディングします。ただし、部分的に行うと、仕上がりに差が出る場合がありますので、一応全体にかけるようにします。2回目の塗布は作品の表側(外から見える部分)のみでOK。1回目の塗布後に「光っている程度」であれば、すでに吸い込みは終了しているので、少量で済みます。さらに5分程度放置後、ウエスで拭き取ります。実はこの放置時間が微妙なポイント。時間は温度によりますが、多少の「粘り」が感じられる程度がベストです。粘りのない「水っぽい」状態で拭取った場合と比べると、仕上がりの色調が異なります。深めの色合いを出す場合は若干長めにします。ただし空け過ぎると、樹脂成分が凝固するため、拭きムラが出てしまいます。溶剤が入っていますので、乾燥は雨風のあたらない屋外で。トルエン等、人体に直接影響のあるものは入っていませんが、室内だとかなり臭いが気になります。溶剤の揮発に合わせ、3日間程度は浸透した趣旨成分が浮き上がってきます。1日に2回程度乾拭きをします。そうすることによって樹脂が均され、なめらかな手触りに仕上がります。この3日間は作品に物を置いたりしないこと。しっかりとあとが付いてしまいます。壁掛け作品などは、念のため1週間程度乾燥させましょう。

超基本シリーズ「釘の選び方」   2004.1.16
この講座も今日で32回目になりますが、本日より初心にたち返り「超基本シリーズ」でお届けします。まず手始めは「釘の選び方」について・・・
「釘」で仕上られるカントリー木工作品は、その耐久性から比較的「小物」となります。「ネジ」と「釘」の基本的な違いは、まず木材を接合する際の「引き寄せ強度」です。ネジはスクリューさせることよって木材同士を強く引き寄せる作用が働きますが、「釘」にはその作用はありません。次に「引き抜き強度」の違いです。基本的に「釘」は、打ち込みによって使用するため、同時に、まっすぐに引き抜いた場合の抵抗力も少ないのです。ところが「ネジ」の場合は、その形状からもわかるとおり、ドライバーを使用してスクリューさせながらねじ込むため、引き抜きに対しての強度は、釘に比べはるかに強いのです。という訳で、より強度を必要とする作品には「ネジ」を使用することになりますが、では「釘」の良いところはというと、「仕上がり」です。一部の工法を除き、「ネジ」の場合は、その頭の大きさから、「ダボうめ」が必要となり、明らかに目立ちます。しかし「釘」は頭も小さく、さほど目立ちません。ですから、強度を必要としない小物作品の場合は「釘」のほうがおすすめです。釘の長さの基準は、「板厚の2.5倍から3倍」(DIY協会監修資料)です。19mmパイン材だとすると、5〜6cmの釘ということになりますが、実際に手にしてみると、その長さと太さに愕然とする筈です。この長さは、前述の「引き抜き強度」を基準としています。そこでおすすめなのが「スクリュー釘」。「ネジ」ほどの切り込み深さではありませんが、スクリューしている分、引き抜き強度が高まるため、板厚の2倍程度で充分とされています。ただし「スクリュー釘」(建築金物名称)だと、頭がやや大きく、めだってしまうため、頭が小さく、しかもセンターポンチで木材に軽く沈ませることの出来る「フロア釘」が便利です。19mmパイン材なら「38mm」がベストです。なお最近、釘の長さの基準について、「1.5〜1.8倍」などという、怪しげな解説をしている木工誌がありましたが、編集者各位には、しっかりとした監修作業を期待します。(読んでるかな?)

超基本シリーズ「木材」の偉大さ   2004.1.17
金属やプラスチックと比べ「木製」という言葉から連想することは、「温か味」「素朴さ」というメンタル面に対して、「燃えやすい」「腐る」という欠点もある。ただし、仮に木製家具が「燃える」という場面があるとしたら、それは火災の被害か何かであって、多分そのときには材質に関わらず、甚大な被害が出るだろう。また家具が腐るとしたら、せいぜい数カ月の雨ざらし状態の時。逆に消失とともに、永遠に自然帰化することのない「金属」や「プラスチック」のはびこりについては、現況の社会問題でも理解出来ると思う。力学で言うところの「比強度」(強度÷比重)では、圧縮に対してコンクリートの約9〜10倍、引っ張りに対しては鉄の4〜5倍の強度を持つ「木材」(繊維方向での強度値)。木材はあらゆる物質に勝る強度を誇っている。湿度による木材の伸縮特性については以前にも解説した通り。湿度が高ければ、その水分を吸収し、乾燥していれば水分を放出して、我が住家となる自然環境を自ら助くる木材。やたら環境を破壊してそしらぬ顔をした人類に比べ、いかに従順で、しかも偉大か。根を切られ、枝をはらわれ製材された「木材」は、それでも呼吸を続け生き続ける。自然の恩恵を「木製家具」という形で受けた私たちは、ハートの刻みをもって「心」のありかを示す。この素朴で優しい「木材」を、私は敬愛して止まない。(「超基本シリーズ」じゃなかったね)

超基本シリーズ  不要な「セット物」   2004.1.18
こと「かたち」から入ることの好きな我々現代人にとって、つい手が出るのが「セット物」。木工の世界にも、この手の物は非常に多い。「ドライバーセット」や「レンチセット」、「トリマービットセット」「ネジセット」「釘セット」「ドリルビットセット」「ヒートンセット」「大工道具セット」「絵の具セット」「紙やすりセット」等々、あげればきりがないほど。いったい、これら「セット物」のなかで、その内容のすべてを必要とするものがあるだろうか。「備えあれば憂いなし」ではあるが、必要でないものが増えると、本当に必要なものが何であるかが見えなくなる恐れがある。「マイナスネジ」などほとんど存在していないし、身の回りに全規格のボルトナットなどあるわけないし、ドリルビットは「+NO.1」「+NO.2」の2本があれば充分だし、ミリ単位違いの穴を20本もあけることはない。同じようなことが、すべての「セット物」に言える。「まとめて買えばお買い得」なのは、すべてを必要不可欠なものとして消費するからであって、揃えることに悦を感じるのは、結果的に木工を複雑なものにし、コストを上げるだけである。本当に「手作り木工が好き」という人は、その時その時に必要なものを吟味して「良い物」を選び、だめになるまで使い込んで欲しい。木工への趣味そのものが、不要な「セット物」のひとつにならないよう。

超基本シリーズ  「サシガネさま」   2004.1.19
初めて「サシガネ」を使った時、「何だか邪魔で使いづらい」と思った人も多いのではないだろうか。よほど大工仕事の好きな家庭に育った人でない限り、小さい頃から慣れ親しんで来た人はあまりいないと思う。まっすぐなモノサシに慣れた人にとっては、ちょっとやっかいに見えるこの「サシガネ」。実は非常に多機能な測定兵器。直角測定はもちろんのこと、角度・勾配測定や、丸目と呼ばれる丸太の円周測定、角目と呼ばれる丸太の角材切り出し寸法など、計算機などない昔の大工は、これ一本で仕事の大半をこなしたと言う。正式なものは、表目・裏目があり、このような特殊測定の目盛りが刻まれている。用途の大半は、木材への墨付け作業となる。計測というよりも、直角を利用した墨付けには欠かせない。ホームセンター等の売場で見ればわかるが、この「サシガネ」には、結構色んな種類がある。私もDIYセンター勤務が長かったが、ビギナーが間違って、「大工用」と呼ばれる「尺目」(メートル表示のない尺寸法表示のもの)を買って、慌てて交換に来ると言ったこともしばしばあった。私たち「手作り派」が使用するのは、難しい目盛りを必要としない。おすすめなのは、表裏ともメートル式の単純なもの。幅は15mmが一般的で、より精密な墨付けが可能な「超薄」タイプを選ぶ。厚手のものや、幅20mmのものは、ほとんどが「金工用」なので、精密な木材の墨付けには、あまり向かないので注意。長さは「500mmx250mm」のものが、家具の墨付けには一番都合よい。よく「300mmx150mm」の厚手コンパクト型(業界では子供用と呼ぶ)を無意識に載せる木工誌もある。使ってみれば「継足し測定」の連続となることが、ただちに理解出来る思う。せめて己が雑誌を余裕をもって収納出来る高さくらいは、ゆうに測れる寸法のものと理解して欲しいものである。とにかく、使い始めると「私、あなたがいないと、なんにもできない!」というくらいの伴侶になる。

超基本シリーズ  面取りのススメ   2004.1.20
家具作りで「面取り」というと、装飾のための「トリマー」によるものを思い浮かべます。主に「コロ付きボーズ」と呼ばれる丸みを帯びたビットでの加工のことで、このトリマーを使用した加工については、以前にも解説しました。今回は、機械的な「面取り」ではない部分について解説します。木取りされたままの状態の「木材の面」(木工で言う「面」とは、図形で言う「辺」のこと)は、用語で「切りっ放し」と言い、限りなく鋭い状態です。トリマーでの面取り部分にばかり気を取られがちですが、長期使用を考えた場合、トリマー加工を必要としない部分での面取りこそが、丁寧なもの作りをしているかどうかの判断基準にもなります。鋭さを残したままの面は、乾燥度合いに合わせてササクレがおこる場合もあり、また使用中にトゲとなったりします。そのため、制作段階でのサンディングの際に、こうした「面」は、すべてヤスリで軽く面取りします。組立て前に行ってしまうと、材の接合時に「目違い」が確認しづらくなったり、突き合わせで「ツライチ」(2枚の材が段差や隙間がなくフラットな状態になること。指の腹で撫でて確認することから「さすり」とも言う)にする部分まで、誤って面取りしてしまう場合がありますので、ほとんどの場合は、塗装前の仕上げ時に行うこととなります。なお塗装してしまった後には、こうした面取りが出来ないので注意します。よく、サンドペーパーをそのまま手に持って面取りする光景を見ます(時折、木工誌でも見かける!)が、直接手に持って行うサンディングは、基本的に曲線部分や、丸みを帯びた材への作業のみで、正しくは「あて木」(木片)にペーパーを巻きつけて行います。直接持って面取りをすると、まれに「先割れ」という木材の割裂部分が手に刺さって怪我をしますので注意して下さい。ペーパーの番手(荒さを示す数値)は#240が適当です。「サンディングブロック」や「ロール式やすり」など、あらかじめ「あて木」に巻きつけたのと同じ形の便利なものも多数販売されています。

電動に頼らない木工のススメ   2004.1.21
電気というものに対する生活依存度は計り知れない。こと「木工」においても、そのほとんどの作業を「電動工具」に頼っている。「もし電動工具がなかったら」ということを考えてみると、自分がまったくの無力であることに気付かされる。そこでよく考えてみると、電動工具というものは、本来「手工具」で行うべき作業を、より楽に、そして効率的でスピーディに行うための代替品であることに気付く。つまり、すべての電動工具には、その基となる「手工具」が必ず存在する。道具の道を極めるのであれば、それら「手工具」を制覇した後、電動工具を使うのが正当なのだろうが、私は何より「木工を楽しむことに魅力を感じている」ということで、技術のなさの言い訳にしたい。ところで近々某出版社より、電動工具を使わない家具作りをメインにした木工誌が刊行される。正確には「ドリルドライバー」のみを使用する家具作りなのだが、これがおもしろい。木材購入後、直線カットはホームセンターのカットサービスを利用し、トリマーやジグソー・糸ノコはいっさい使用しない。穴あけと組立ては「ドリルドライバー」に頼ることになるが、見事に「電動工具」に頼らない木工作となる。最初この企画を聞かされた時、「つまらない物しか出来ない」と思ったが、実際に作ってみたら、その初々しさに、なぜか感動してしまった。面取りもサンディングも、「電動」が使えないため、すべて手作業となり、いつもより真剣に、そして丁寧に作業している自分に気付いた。初心者のための木工誌であるが、「電動漬け」になっている諸君には、ぜひ読んでもらいたい本である。アーリーハッチが監修に携わる。「阪神・淡路大震災」の発生直後に、もっとも役立ったのは、住民が皆で持ち寄った「のこぎり」や「バール」「ハンマー」などの「手工具類」だった。そして役に立てなかったのが、電源を使用する工具だったそうである。

ハードシリーズ  電動ドリルの種類   2004.1.22
ホームセンター等の電動工具売場で、もっとも種類の多い工具は、やはり「電動ドリル」。今回は、この「電動ドリル」の種類について解説する。「電動ドリル」は、形状こそ似ているが、作業内容により、大きく5種類に分類される。まず1つ目は、穴あけ専用の「ドリル」。AC式(コンセント式)で安価だが、利用頻度は少ない。2つ目は「ドライバードリル」。その名の通り、ドライバービットを装着することにより、ネジ締めを行うもの。充電式が一般的だが、安価なAC式もある。ドリルビットを装着することにより穴あけも可能。3つ目は「振動ドリル」。バイブレーション式の回転動作で、コンクリート用ビットを装着して、石材やコンクリートの穴あけ(小径)に使用する。切り替えにより、通常の穴あけも可能。4つ目は「ハンマードリル」。進行方向に打撃を伝える回転作用、または打ち込み作用により、コンクリートや石材の穴あけや破壊作業に使用する職人向け工具。5つ目は「インパクトドライバー」。その形状から、ドライバードリルと混同されるが、締付け時の負荷が大きくなるにつれて、回転方向への連続打撃の作用が働き、よりパワーのあるネジ締め作業が可能。ドリルドライバーのように、大きな締付負荷を直接モーターに与えないため、機械的な寿命は意外と長い。充電式が一般的。売り場で見かけるたくさんのドリルも、実はこの5種類に分類されている。手作り木工で必要となるのは「ドリルドライバー」くらいだが、興味のあるかたは、この予備知識を持って、売り場探索をしてみると、けっこうおもしろい。

ハードシリーズ  「丸ノコ」について   2004.1.23
ビギナー向けで、しかも比較的安全性の高い電動工具といえば、「ジグソー」と「糸ノコ盤」です。ところで、このふたつは、基本的に「曲線カット」を目的に開発された工具で、ブレードなどの性質上、完璧な直線カットは不可能と言えます。組立てをようする部材の直線カットは、その切断面の直角度や組立て時の密着性により、作品の正確な仕上がりに、大きく影響することとなります。電動工具で、この直線カットを目的にした工具は「丸ノコ」です。ただしこの「丸ノコ」、その凶暴そうな「ノコ刃の形状」から、ビギナーへの普及はいまひとつのようです。数十年前の「丸ノコ」は、ノコ刃が剥き出し状態で、大工の間でも「怪我をするなら丸ノコ」と言われたくらいの工具で、その事故発生率と恐怖伝説が、ビギナー普及を遅らせた要因と言えます。現在の「丸ノコ」は、すべて安全カバーが装着されていて、木材を切り進む間だけノコ刃が出るような仕組みになっており、またほとんどの機種が、トリガーを放した瞬間にブレーキが作動して、瞬時に回転が停止する構造になっています。そのため、作業中誤って手から落下しても、回転による怪我を防げます。「丸ノコ」は、装着可能なノコ刃の径で種類が異なり、140・165・190などの種類があります。ノコ刃径の大きいものほど、より「厚板」をカットできますが、一般的なのは140〜165クラスで、価格は1万円前後から販売されています。本格的で正確な切断を目的とする場合は、材に密着するベース部分が「アルミダイカスト製」の「造作丸ノコ」がおすすめです。ノコ刃には「縦びき」(木目方向)用や、「横びき」(木目直行方向)用などがありますが、現在は、より切断面のきれいな「チップソー」(少々高額)を使用するのが一般的で、本体に標準装備されているケースが多いようです。切断時は、ラインに沿っての目視による切断も可能ですが、より正確な直線カットの場合は、定規を当ててカッターで紙を切るように、その定規代わりになるガイド治具の用意をおすすめします。ホームセンター等で販売していますが、ベニヤ等を利用して自作も可能です。「丸ノコ」は、付き合ってみれば、外見よりおとなしいやつです。

まれにみる基礎的木工本誕生   2004.1.24
手作り木工ファン待望の基礎的な木工本が、日本ヴォーグ社より本日発売された。書名は「基礎シリーズ 木工」。アーリーハッチも協力した木工誌ではあるが、だから推奨する訳ではない。客観的にそう思う。木工に興味を持ち書店へ足を運んでみても、木工に関する本というのは意外と少ないことに気付く。まれにあっても、「いったい誰がこんなものを見るんだろう」というくらい、恐ろしく難解でマニアックなものだったり、木取り図は付いているものの、制作手順を省略していて、どちらかというと「作品集」的なものだったりする。そうした意味で、今回発売された「基礎シリーズ 木工」は、まさに「ありそうでなかった」木工誌と言える。木材の種類や工具の扱い方、作業手順や用語をまとめた「基礎編」と、6アイテムからなる制作実例を写真で細かく紹介した「実践編」の二部構成。とても解りやすく無駄のない、完成度の高い木工誌と思う。「基礎編」で解説されている内容は、これまで当「ワンポイントアドバイス」で解説してきたことが、まるでコピーしたかのように記載されている。辛口の私も舌を巻くほど的を得た内容に、よくもここまで完成させたものと感心する。編集にあたった日和佐、菅原、両女史にエールを送りたい(お菓子ごちそうさま)。ただ、表紙デザインは「ちょっと外したかな」と思う。

シリーズ「墨付けの極意」 側板      2004.1.25
木工のハウツー本で、あまり具体的に触れていない「墨付け」について説明します。「接合ライン」対「下穴」の相互関係については、「効率的な墨付けの方法」(1.8)で説明しました。今回は、その「接合ライン」の墨付けについて具体的に紹介します。長さ881mmの「側板」に対して、「底板」と「棚板」の接合ラインを墨付けするとします。時々教室の生徒さんで、わざわざ板の厚さ分(上の線と下の線)を墨付けしているかたがいますが、当然これは必要ありません。すでに板厚は決定しているのですから、ラインはどちらか一方でいい訳です。そしてこの時、「板の上部分のライン」を引くことが大きなポイントとなります。さらに、ラインの位置寸法は、すべて「材の下端から」を基準にします。そして当然「下穴」の位置は、このラインの下側となる訳です。これらを、「垂直にたつ材についてのルール」として徹底します。材への「墨付け」の基となる、作品の「正面図」や「側面図」には、この接合位置のサイズを記入しますが、この場合例として、側板に対し、底板の上ラインを80mm、棚板の上ラインを450mm、そして側板の上端まで、つまり全体が881mmというように記入されます。「この板の位置は下から○○mm、この板は上から○○mm」としてしまうと、接合する棚板などが多い場合に混乱して、ミスがおきる可能性があります。「側板」など「垂直にたつ材」は、必ず2枚が相対します。ラインと下穴を見ることにより、瞬時にどちらが上を向くのかが解るため、こうしたルール決めをすることにより、組立ての際、それぞれの側板の上下を誤って逆にしてしまったり、墨付け間違いすることを防げるのです。「ラインは板の上部分」、「ライン位置寸法はすべて材の下端からを基準」。このルールを忘れずに。

シリーズ「墨付けの極意」サシガネの利用法 2004.1.26
作品の良し悪しは「墨付け」で決まるといっても過言ではありません。作業のほとんどは、この「墨付け」に従って行われるため、いくら工具のテクニックや仕上げが上手でも、不正確な墨付けを基にしていれば、出来上がる作品もいい加減なものになってしまう訳です。墨付けの際に使用される道具は「サシガネ」ですが、その特徴は「1.19」の講座でも説明しました。「直角定規」とも言えるサシガネですが、板材へのライン引きの際に、この直角を利用して墨付けする人もいますが、あまりお奨め出来ません。もちろん精度としては直角を保持していますが、問題は板材そのものの「木端」の正確さが疑わしいためです。またサシガネで直角を確認する際、材の「木端」や「木口」に掛ける「長手」や「妻手」がせり上がったり、ずれたりするケースがあるからです。そのため、140mm幅以上の板材へのライン引きの場合は、材の端と端の2箇所を測ってから、それを繋ぐ引き方をお奨めします。そしてこのライン引きにはサシガネをあてますので、その時に初めて、サシガネが示す直角を、確認の意味で目視します。あきらかに直角がずれていれば、材の幅にずれがあるとか、木口そのものの直角が出ていないとか、または測り間違いですので、あらためて材をチェックするようにします。こうすることによって、効率的で正確な墨付けが出来ます。ただし、ラインに沿って連続した下穴位置などの場合は、接合ラインの墨付けほど精密さは必要ないので、一点のみを測ってから、サシガネの直角を利用して墨付けしてもOKです。また、特にパイン材などの柔らかい材に墨付けする場合は、2B以上の柔らかい芯の鉛筆やシャープペンを使用しましょう。よく「精密度に影響する」との理由で、固い芯を奨める人もいますが、それは固い材や、ホゾ継ぎなのど超精密な墨付けなどで技術を自慢する方々の言い分であって、私たち手作りカントリーでは必要ありません。柔らかい材への墨付け時は、固い芯を使用すると、その線が「材への彫り」となって残り、オイルを塗ると「あら不思議!」、そのラインがくっきりと浮き上がってきます。また、2B以上の芯でも、少々力を入れてしまうと、手で触ればはっきり解るほどの「えぐれ」が出来るほどにサンディングしないと、ラインの彫りが消せなくなったりします。よく見かけるのは、ハートのくり抜きや、曲線の墨付け時に、材へ何度も試し書きした場合です。作品の「表」となる部分への墨付け時には、充分注意しましょう。彫りの出ない程度の墨付けラインは、オイル塗装後すぐに、耐水ペーパー(#400程度)で軽くこすると、綺麗に消えます。

超基本シリーズ ゲンノウについて   2004.1.27
「とてもよく仕事をする大工は、たいてい左手の親指に真っ黒な血豆がある」。大工の親戚が多い私は、よくそんな話を聞かされたものです。木工作で使用する「釘を打つ道具」といえば「ゲンノウ」です。頭となる金属部分の一方が「平面」で、もう一方が膨らみのある球面になっています。木工作は、単に板を釘で止めればいいというものではなく、打ち込み位置の美観も考えなければなりませんし、打ち損じによる木材への傷にも注意しなければなりません。通常「釘打ち」の基本は、「いかに少ない打撃回数で手早く打ち込めるか」ということですが、こうした家具制作の場合には、「いかに正確に、傷付けることなく、確実に打ち込めるか」を重視します。木材には、あらかじめ釘を打つ部分にドリルを使って「下穴」をあけておきます。昔の木工誌(今でもあるようだが)では、「キリ」で下穴をあけるよう解説しています。やってみれば解りますが、まるで「火おこしをする縄文人」のようで、あまりかっこいいものではありません。切れ味が悪いと、多分本当に煙が出てきます。せっかく文明社会の真っ只中におりますので、せっかくですからドリルを使用しましょう。直径2.5mm程度の貫通穴が無難です。打つ場合には、釘が安定するまで「余り手」で釘をサポートしますが、この場合すでに下穴があいていますので、軽く1〜2回打てば、釘は自立します。なお「とてもよく仕事をする大工」の場合、こうした下穴はなく、そのため釘がしっかり自立するまで左手で釘をサポートしています。さらには、なるべく少ない回数で手早く打ち込もうとするため、1打目から全力で振り下ろします。ですから打ち損じとなる「血豆」が出来るようです。釘打ちは、ゲンノウの「平面側」を使って打ち込んでいきますが、打ち損じを怖がって力を加減すると、打っても打ってもなかなか入っていきません。この現象をアーリーハッチでは「キツツキさん」、または「子供を本気で叱れないお母さん」と言います。38mm程度の釘をパイン材に打ち込む場合、理想の打ち込み回数は約8回です。最初は柄の中ほどを持ち軽く打って釘を安定させ、次は上から4分の3程度のところを持って打ち込んで行きます。最後の2回は「球面側」を利用し、木材への打ち込み傷を防ぎます。「本気で叱っても、最後は傷つけることなく」ということでしょう。持ち替えを含めたこれらの動作を、まるで手品士のごとくの早業で行えれば、あなたも立派な教育者になれます。「重い靴ほど疲れにくい」といいます。自重を利用したスナップ運動が基本となるゲンノウもしかりですが、とりあえず軽めのものから慣れるのが無難です。親戚の大工は、釘抜きのついた「カナヅチ」を使用していましたが、よくこの「釘抜き側」で釘を叩いて、血豆どころか親指がなくなってしまいそうな場面が多々あったそうです。血豆の話は、多分言い訳だったのかもしれません。

超基本シリーズ ノコギリについて   2004.1.28
木材の切断に使用する工具といえば「ジグソー」や「糸ノコ盤」「丸ノコ」といった電動工具です。これら工具の使い方や特徴につきましては、「12.17」「1.3」「1.6」「1.23」で解説しました。この工具さえあれば、カントリー家具制作における部材カットは、まず完璧です。手工具となる「ノコギリ」の出番はありません。事細かに、この「ノコギリ」の種類や使い方を解説する木工誌もありますが、少なくとも家具の構造部材を「ノコギリ」で切断しているかたは、別の意味での素朴さを追及する場合や、あるいは事情があって電気が使えない人、または電動工具をお持ちでない人だと考えます。そうした意味で、より効率的で正確なカントリー家具作りには、上記3点の電動工具は三種の神器と言われます。では「ノコギリ」の出番はないかというと、一つだけあります。それは「ダボ切り」です。アーリーハッチがお奨めするダボ処理の方法は、「ダボを埋めてから切る」方法ではなく、あらかじめ丸棒をノコでカットしておく方法(12.31解説)です。前者の方法では、家具本体に傷を付けないようにするため、「アサリ」(ノコ板の摩擦を減らすため刃先が左右交互に外側へ曲げられていること)の少ないノコを必要としますが、後者の方法では、特殊なものでない一般的なノコで充分です。では一般的なノコギリというと、まず「両刃式ノコ」(繊維方向の切断に使用する縦引き刃と、繊維直行に切断する横引き刃がついたもの)ですが、これは大工のようで格好はいいのですが出番はありません。おすすめは「替え刃式ノコ」です。「Zソー」というブランドが、かなりのシェアを占めています。265サイズが一般的。ノコ刃は「縦引き横引き兼用」で、実際には、ほとんど「横引き用」と見分けがつきません。「縦引き」時の効率には若干劣ります。ノコギリは「刃物」ですので、使えば使うほど「切れ味」が鈍ってきますし、使わなければ使わないほどに「サビ」が出てきます。本来ノコ刃は、切れ味が落ちれば「刃研ぎ」をすることで復活しますが、素人では家具を作る以上に難しく、はまると「刃研ぎに人生をかける」人まで出てしまいます。新潟あたりの刃物業者が請け負って刃研ぎをしますが、その料金は、普及型のノコが数10本買えるほどになります。そのため現在では、研ぎ職人には気の毒ですが、前述の「替え刃式ノコ」が重宝されている訳です。価格は3千円以上のもの(替え刃は2千円前後)が妥当です。この1本あれば、あとは何もいりません。

超基本シリーズ 集成材を使う    2004.1.29
カントリー家具では、なぜか敬遠されがちの「集成材」。張り合わせ部分が人工的なので、ナチュラルさが損なわれるというのが、その理由のようですが、私個人としては、嫌いではありません。なぜなら、ナチュラルさを求める前に、木工そのものを楽しんでいるからです。しかも集成材には無駄がありません。無垢材の場合、フシや反り、割れ、木目等、どうしても家具として使えない部分があり、それを避けながら木取りしなければなりませんが、集成材は均一な材質のため、そうした「機嫌」を伺いながらの木取りをしなくて済みます。また「12.19」で説明した通り、無垢材に比べ強度があることや、反り難い点は、実用家具制作にとても役立ちます。ところでこの「集成材」、最大の欠点は、「水に弱い」ということです。どのくらい弱いかというと、雨の日に、「おーい、庭に置いといた大きな板、誰か知らないか?かわりに細い角材がいっぱい置いてあるけど・・」というエピソードがあるくらいです。集成材は、幅の狭いたくさんの板を、接着剤で張り合わせたものです。この接着剤は、水分を含むと柔らかくなって、接着力を失い、もとのバラバラの板材に戻ります。その現象は「芸術的」というくらい見事な光景です。屋内での水ぶき程度ではまったく問題ありませんが、一晩雨にさらすと、このような結果になります。お金に余裕のある方は、ぜひ一度お試し下さい。このように、屋外用の作品に集成材を使用するのは、紙で作った水着で泳ぐようなものです。屋外用のニスを重ね塗りし、厚い塗膜を作ることによって、水分の吸収をシャットアウトさせる方法や、2液性ウレタン塗装する手段もありますが、塗幕が劣化するとたちまち前述の通りとなりますし、その前に逃げ場を失った木材内部の水分が蒸れることにより、早期の腐れを促しますので、あまりお奨めは出来ません。それでも屋外で使いたいという人は、病院に行くという方法もあります。無垢材と集成材について、ナチュラルか、そうでないかを問う前に、それぞれの素材の持つ特徴を最大限生かした作品こそが、もっとも自然な姿であることに気付くべきと思います。

刃物類のお手入れ    2004.1.30
木工に使用する道具工具類には、「刃物」がたくさんあります。木工に限らず、すべての「刃物」は、お手入れが必要です。手作りカントリー木工で使用する刃物のお手入れは、そんな難しいものではありません。研ぎ直すことの出来ない刃物ばかりですので、切れ味が落ちれば寿命となります。今回はそのお手入れの方法を解説します。まずは「ジグソーブレード」。1本当たりの単価が高いものなので、作業中に折れたときは結構ショック。折れる原因は金属疲労ですので、押し進めるスピードに注意。特に極曲線時はあせらずに。そして連続使用時の摩擦熱によるブレードの劣化も要注意。張り切りすぎると、落ち着きを求めるかのようにブレードが折れます。短時間に大量のカットをこなすプロは、何本かのブレードを交互に使用して折れを防いでいるほどです。1週間以上使用しない場合は、防錆剤(クレ556など)を塗っておきます。「トリマービット」は高価な割に、切れ味の寿命が短い刃物。折れたり欠けたりしませんが、特にパイン材等、ねばりのある木材への使用後は、刃物部分にへばりついたカスを掃除しましょう。放置しておくと木材の脂分が樹脂化して、切れが悪くなります。やはりしばらく使用しない場合は防錆剤を塗ります。「ドリルビット」「丸ノコ刃」関係も、このトリマービットと同じ現象ですので同様の処置をしましょう。「ノコギリ」はサビが大敵。ノコ板が錆びると、切れ味も落ちます。毎日使用するのでなければ、やはり防錆剤を塗っておきます。カンナやノミの場合は、「中砥」「仕上砥」などの砥石での研ぎが欠かせません。昔はサビを防ぐため、黄色い「油紙」で、こうした「刃物類」を大切に包んで保管したものです。現在は使い捨て志向のせいか、消費量が増えたおかげで価格も下がり、高価なものを大切に使うという姿勢が薄れました。「刃物」は本能的に身を守る道具として、人を構えさせると同時に、自らをも傷つけ得るもの。自身も錆びないよう、だからこそ大切に取り扱いたいものです。

「デザインを楽しもう!」 コーディネート    2004.1.31
私共のように、カントリー家具を流通させる者にとって一番大変なのは、制作作業よりも、そのデザインにあります。「カントリー家具」という言葉が、ひとつのジャンルを形成しているように、そのデザインはある程度固定化され、定着しています。そのため、新しいアイテムのデザインの際は、他メーカーとのバッティングや競合などにも留意しなければならず、とても苦労するのが実情です。ただし、これはメーカーに言えることであって、みなさんが、ご自分のために制作する作品は、設置場所に合わせたサイズや、目的収納、既存の家具やインテリアとのバランスなど、デザインする上でのヒントやポイントがたくさんあると思います。小物の木工作で少々自信がついたかたは、お部屋の家具に挑戦したくなるものです。初めて本格的な家具に挑戦する際は、まずカントリー雑誌などの「お宅拝見」のページを参考にするかたも多いと思いますが、お部屋の家具類をコーディネートする上でのポイントは、「デザインの統一性」になります。例えば、家具正面下の飾り板の曲線デザインやハートのくり抜きを統一します。カントリー誌のいろんなお宅を参考にして「あれもこれも」となってしまうと、調和性のないものとなります。家具の色の統一も大切です。特に白を基調とした壁面のお部屋では、家具類の色合いがはっきりと映ります。個々の家具の「高さ」もポイントです。目的物の収納ばかりに重点を置くと、アンバランスになります。お部屋全体の調和を考えましょう。曲がったことの嫌いな日本人は、お部屋の入隅(コーナー)演出が下手だと言われます。直角な配置だけでは、おもしろさがありません。そうした意味で、お部屋の演出のスタートは、コーナーを基点にすると案外楽しい配置が実現するものです。次回は、キャビネット類の具体的なデザインと構造について説明します。